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  実践!生産革新道場:システムを運用させるために、人の定期点検を行え

 

1:製品が消えてしまった

定期研修先の日本人担当者より「先月、棚卸を行ったところ、在庫のデータと実数が大きく違っていました。棚卸の方法に問題があるかもしれませんが、日常の工程内の数量管理も心配です」との話がありました。早速、研修のテーマに数量管理も追加して、管理者と共に現場に入りました。加工工程の数量管理のデータを確認したところ、ある製品で受け入れが1000個となっており、加工済みの払い出しが600個しかなかったのです。機械のセッティング時や加工時の不良は合計で10個となっているので、数量が全く合いません。私は担当の管理者に「お前の工程で製品が390個も消えているではないか。一体どういう理由なのだ!」と詰問したのです。

 

2:数量消失の問題点

私は現場で担当の管理者とデータを記入した作業員に詳細にインタビューを行いました。その結果、次の問題点が判明したのです。

 

1)作業員が問題を理解していない

作業員は「これは前工程の数量が違っていたのです。加工済みの数量は正しいですから、大丈夫です。」と繰り返していました。作業員は「前工程の数量が違っているのは自分のミスではない。数字が大きく違っていても、自分のミスではないから報告は不要だ」と考えていたのです。「他部署の問題でも異常を発見したら報告する」との概念が無かったのです。

 

2)管理者が確認を怠っていた

管理者は毎日、数量データを確認してサインを行いますが、データには数量が違っていた項目にも管理者のサインが入っていました。私がこの点を管理者に指摘すると、「加工工程では不良の低減が大きなテーマとなっているので、不良の項目しか見ていませんでした」と答えたのです。不良の項目だけを見てサインを入れていたため、受け入れと洗い出しの数量の差異に気が付かなかったのです。

 

3:異常発見のシステムを機能させろ

今回の問題は前工程の数量管理の不備にありますが、私が気になったのは、上記のように「異常の早期発見のシステムが機能していない」ことにあったのです。私は直ぐに管理者を集めて、次ぎのように説明しました。

 

「工場の問題の早期発見のシステムは、作業員が異常を発見したらすぐに上司に報告する、そして管理者はデータをチェックして異常の有無を確認することだ。しかし、今回はその2つとも機能していないことが判明した。これは工場にとって重大な危機である」

 

「システムは作業員と管理者が正しく運用しないと、直ぐに形骸化してしまい、その機能を果たさなくなってしまう。今回の問題を教訓に異常の早期発見のシステムが正しく機能しているか、各課で再点検すべきだ」このように説明したあと、「管理者は過去の数量データの再確認を行う」「作業員への異常の理解度を確認するために、インタビューを実施する」などの指示を出したのです。工場では生産管理も品質管理もシステムに従って行いますが、このシステムを運用しているのは人なのです。ですからシステムを正しく運用させるには、定期的に人の管理を確認することも大切なのです。