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  実践!生産革新道場:チェックリスト軽視の風潮を取り締まれ

 

1:チェックリストの数値が異なっていた

ある工場で管理者と作業の様子を観察していました。作業員は機械を使用していましたが、空気圧にムラがあるように見えました。私は管理者に「あの機械の動きが少しおかしいようだが、空気圧は適正なのか。作業標準書とチェックリストを見せてくれ」と指示しました。管理者は「作業標準書ではこの数値に規定されています。チェックリストも規定値の通りとなっており、問題ありません」とチェックリストを差し出してきました。私は「念のために自分の目で確認させてもらう」と言って空気圧のゲージを見たところ、作業標準書の規定値よりオーバーしていたのです。私は管理者に「作業標準書の数値と設定値が異なっているではないか。しかしチェックリストの数値は作業標準書の規定値と同じだ。一体どういうことなのか説明せよ」と追及したのです。

 

2:数値が異なっていた原因とは

私は管理者に製造の担当者に詳細を確認するように指示しました。すると次のような事柄が判明したのです。

 

1:新製品をこのラインで流していたが、この製品は作業標準書通りの空気圧だと、品質的に問題が発生する可能性があった。そこで製造とQCの判断で暫定的に空気圧の規格値の変更を行った。

 

2:規格値の変更は暫定処置のため作業員には口頭で指示をした。管理者は暫定的処置なので作業標準書の規格値の変更は行わなかった。

 

3:作業員は暫定処置の空気圧を設定したが、作業標準書とチェックリストはそのままだったので、チェックリストには設定値ではなく、作業標準書の規格値を記入して異常なしとしていた。

 

担当者が「空気圧の変更は暫定処置ですから」と言い訳するのを遮って、私は「チェックリストに記載している数値と機械の設定値が異なっているのは問題だ」と指摘したのです。

 

3:チェックリストの重要性を理解させよ

今回の件では新製品の試作段階で機械の空気圧の設定や暫定処置と言いながら、恒久化対策の協議を怠っていたなどの問題がありました。私が問題視したのはチェックリストに機械の設定値をそのまま書かずに、作業標準書に記載してある規格値を書いて異常なしとしていたことです。私は管理者に次の問題を指摘しました。

指摘した問題点

 

1.管理者の指示が不適切であった

管理者は作業員に口頭で暫定処置を指示しただけで、チェックリストにどのように記載すべきか何も指示をしていませんでした。管理者はチェックリストまで考えが至らなかったのですが、それは日頃からチェックリストの重要性を理解していないことが背景にあります。

 

2.作業員がチェックリストを軽視していた

作業員は実際の設定値と違うことを知りながらチェックリストには規格値を記入していました。これは「チェックリストには実際の設定値ではなく、規格値を記入して問題なしと書いておけば良い」とのチェックリスト軽視の考え方が背景にある可能性があります。もしこのような考え方があれば、実際にはチェックしないで規格値だけを記入して異常なしとしているケースも有り得ます。

 

チェックリストは異常の早期発見のツールとして大変重要です。現場では通常は異常がありませんから、チェックリストの項目を確認したあと異常なしと記入する日々が延々と続きます。毎日正常が続けば「どうせいつも正常なのだから、確認せずに書けば良い」とチェックリストを軽視する風潮が生まれてきます。このチェックリスト軽視の風潮を取り締まるには、管理者にはチェックリストの役割は数年に1度の異常を発見するために、日々の確認を必ず行うことであると強調して、管理者と作業員にチェックリストの重要性を理解させることが大切なのです。