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    実践!生産革新道場:僅かな停止時間でも必ず記録させよ

 

1:配線の付け間違えの問題

ある工場で配線の付け間違えの問題が発生しました。この製品には4本の線を取り付けるのですが、取付箇所を間違えないように線は4色に色分けされています。今回の問題では2本だけが取付箇所を間違っていたのです。私は担当の管理者に「問題の配線を担当した作業員は特定できたか」と聞いたところ「製品を生産したのは3ヶ月前ですが、4M記録を見るとAさんと判明しています」との回答でした。Aさんの履歴を調べると入社18年のベテラン社員で配線以外にも半田付けや外観検査の技能を持っていることが分かりました。私は「Aさんの履歴を見ると配線の技能を持っており、この製品でも配線を担当していた。4M記録では人の変化点は無いし、作業標準書にも配線の色分けが明記されている。どうしてAさんは間違えたのだろう」と聞いたところ「人間ですから、誰でもミスを犯しますよ」と平気で答えたのです。

 

2:隣のラインが停止していた

私は管理者の態度に腹が立ちましたが、原因の追求が先なのでAさんに直接、インタビューしました。しかし「3ヶ月も前のことでよく覚えていません。私は長年この製品を扱っていますが、配線以外に半田付けや外観検査を担当することがあります。私が配線作業を行なっていたら、自分のミスだと思います。でもミスした理由は分かりません」との不明確な答えでした。管理者は「Aさんのミスですから、今後は注意するように言っておきました。ですから大丈夫ですよ」と言い出しましたが、私はそれを無視して「確認のために、他のラインの当日の4M記録を見せてくれ」と、当日の他のラインの4M状況を確認したのです。すると当日、隣のラインが材料切れで1時間ほど止まっていたことが判明したのです。

 

3:僅かな停止でも必ず記録せよ

私は管理者に「当日は隣のラインが1時間止まっていたが、作業員の処置が記録されていない。お前はここに承認のサインをしているが、作業員の処置の確認を怠っているではないか!この停止時に応援として問題が発生したラインに作業員を投入したのではないか」と詰問しました。「いや、それは無いと思います」「何を証拠に無いと言えるのだ。記録上は作業員の処置がないのだから、可能性はあるはずだ」私はすぐにラインの班長を集めて、4M記録についての質問を行いました。すると班長は「1時間程度の停止でしたら、作業員を他のラインに応援に出すことがあります。ただ僅かな時間なので4M記録に作業員の処置を書かないことがあります」と言い始めました。さらに追求したところ「短時間の応援者の投入は後で工数計算が面倒になるので、記録をしないとの暗黙の了解があるのです」と言い出しました。管理者も「実はそうなのです」とこれを認めたのです。改めてAさんに確認したところ「確かに数カ月前に急に応援者が入ったので、私は配線作業から外観検査に廻ったことがあります。しかし正確な日時は覚えていません」と証言しました。

 

私は管理者や班長を集めて「今回の問題は仮説だが、隣のラインが材料切れで1時間ほど止まった際に、問題のラインに作業員を応援として投入した。応援者には比較的易しい配線作業を担当させたが、この際の教育や確認を怠り作業員が配線ミスを起こした可能性が高い」と説明しました。さらに「今回のケースでは4M記録が不備なために正確なトレーサビリティが出来なかった。品質問題が発生した場合は誰が担当したかを特定する必要がある。それは担当者を叱るのではなく、ミスの原因を正しく把握して再発を防ぐためなのだ」と説明した後、「今後4M記録をどのように記入すべきか、その対策を協議せよ」と指示したのです。班長や管理者が「短時間だから記入しなくても良い」「計算が面倒だから誤魔化せば良い」などと、品質ルールを軽く考えていると、このような問題を誘発します。管理者には必ず品質ルールを厳守させることが大切なのです。