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         問題の本質を捉える習慣を付ける手法

 

1:生産管理版の書き方が分からない

定期研修先の日本人担当者より「先月、客先で納期問題が発生しました。客先からは生産管理を徹底せよとの指摘があったので、管理者に対策を実施させてあります」との話がありました。早速、管理者にと共に現場に入り、状況を確認しました。管理者は「客先から生産管理版に不備があると指摘されたので、改善を行なってあります」と言うので、その現場に行ってみたところ、生産管理版には何も書いてありませんでした。

 

私は担当の班長に「生産管理版には1時間ごとに生産数量を書き込むはずだ。何で書いていないのだ」と質問したところ、「生産管理版を新しくしたのですが、書き方がよく分からないのです」と答えたのです。

 

2:上司にも報告していなかった

この工場では以前から各ラインの前に生産管理版が置いてあり、活用していましたが、客先から「目標数量と実績、そして差異しか書いていない。差異が生じた場合の原因と対策も記入した方が良い」との指摘があり、生産管理版に原因と対策の項目を設けたのです。管理者は「書き方が分からなければ、上司に聞けば良いではないか」と班長に注意したのですが、作業員は「上司を見かけなかったので、聞きませんでした」と答えたのです。

 

3:管理者の安直な対策

班長は「上司が生産管理版の使い方を説明した時には、分かったつもりでした。しかし実際に使ってみると、どのように書けば良いのか分からなくなりました。品質問題ならば、すぐに上司に報告しますが、生産管理版の書き方は緊急の問題ではないので、上司が現場に来た時に聞けば良いと思ったのです」などと、説明しました。それを聞いた管理者は「私の説明が悪かったようです。再度、班長に書き方の説明を行います」と対策を述べたのです。

 

4:問題の本質を捉えた対策を行え

管理者の「再度、使い方を説明します」との対策は効果的なように思えますが、これでは対策として不足です。私は管理者に次のように説明しました。

「問題の本質は班長が書き方を理解していないのではなく、班長が生産管理版の必要性を理解していないことにある。その証拠に班長は書き方が分からなくても、上司に報告に行かなかった。さらに書き方が分からないとは言え、生産管理版に日付や生産数量は書くことが出来たはずだ。これすらも書いていないとは、生産管理版の必要性を理解しているとは思えない。必要性を理解していなければ、書いたとしても形式的に書くだけで活用することは出来ないはずだ」

 

私がこのように指摘したところ、管理者は「確かにその通りですね。私も何のために生産管理版を書くのか、必要性の説明はしていませんでした」と問題の本質に気が付いたのです。

 

私も工場を観察するときには生産管理版の内容を確認しますが、毎時間、きちんと生産数量を記入して、差異の原因と対策も丁寧に書いてあるラインは生産性も良いものです。このようなラインの班長は生産管理版の必要性を理解しており、自分のためにも十二分に活用しているのです。班長に管理の必要性を理解させるためにも、管理者には「生産管理版を書いていない、だから書き方を教える」との表面的な対策ではなく、問題の本質を捉える習慣を付けさせたいものです。