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 実践!生産革新道場:生産性の問題も発生原因と流出原因を考えさせよ

 

1:生産数量が僅かながら落ちていた

定期研修先の工場の日本人駐在員から次のような依頼がありました。「あるラインで今月に入って生産数量が僅かですが、目標を下回る日が続いているのです。管理者に原因を調査させているのですが特に異常はなく、なぜ生産数量が下がっているのか分らないのです」私は管理者と共に現場に入り、問題のラインに行きました。生産月報や4M記録、各種のデータなどを確認すると確かに僅かですが毎日、生産数量が未達になっていました。このラインは加工機が2台入っていますが、4M記録や修理記録も異常無しとなっていました。品質月報を見ても大きな不良は出ていないし、現場を観察しても作業員は作業標準書通りの作業を行っており、バランスも取れていました。班長や作業員にインタビューしても理由が分らなかったのです。

 

2:勝手にサイクルタイムを落としていた

私は確認のために管理者にこのラインの生産日報を2ヶ月分持ってこさせました。「生産日報の問題点を月報や4M記録に転記し忘れた可能性がある。今から手分けして先月と今月の生産日報を全部確認して、何か異常が書いてあれば私に提出しなさい」と指示したのです。管理者が手分けして1枚ずつ生産日報を確認したところ、「先月、この日に不良が多発しています」と不良が書いてある生産日報を示しました。よく見ると加工機で寸法不良が発生していたのですが、対策が書いてありませんでした。私は「寸法不良の対策は何を行ったのだ。製造とQCに詳細を確認せよ」と指示しました。すぐにQCの担当者を呼び出して確認したところ、寸法不良の対策としてエンジニアが加工機の調整を行ったことが判明したのです。私はこのエンジニアに「先月この日に寸法不良が発生しているが、加工機をどのように調整したのだ」と詰問しました。すると「実は加工機のサイクルタイムを調整して少し遅くしたのです」とサイクルタイムを僅かに落としていたことが判明したのです。私はエンジニアに「サイクルタイムを変更する場合は所定のルールに従って行うはずだ。きちんとルールに従って行ったのか。従ったのであればそれを証明する書類やデータを出せ。関係者にも確認するから個人名を言え」と詰問したところ、「実は連絡せずに行いました。」と勝手にサイクルタイムを調整したことを認めたのです。

 

3:発生原因と流出原因を分けて考えさせよ

製造の管理者は「これで原因が分りました。エンジニアが悪かったのですね」と言い出したので、「ちょっと待て。確かにエンジニアが勝手にサイクルタイムを落としたのは問題だが、それを見逃したお前にも責任があるぞ」と指摘したのです。「生産日報には寸法不良の問題だけが書いてあり、対策が書いていなかった。お前は毎日、生産日報を確認しているが、対策を書いていない不備な日報を承認してサインをしているではないか。お前が日報を確認した時に問題だけで対策が書いていなければ、お前は一体何をしなければいけないのだ」と詰問すると「エンジニアに確認して対策を書かせます」と答えました。「お前はここに承認のサインをしてあるが、エンジニアに確認したのか。」「確認していません。」「確認していないのになぜここにサインをしたのだ。生産日報を確認しないでサインしているからこのような問題が発生するのだ」私は管理者に正しい考え方を理解させるべく次のように説明を続けました。「不良でも発生原因と流出原因に分けて対策を立案するのが当たり前だ。この加工機の問題も全く同じだ。問題の発生原因はエンジニアであるが、その問題を流出させたのはお前の責任なのだ」と説明したところ、製造の管理者は自分にも管理ミスがあることが理解できたのです。品質問題が発生した場合は発生原因と流出原因に分けて対策を行いますが、管理者の管理ミスを指摘して、納得させる場合にはこの考え方を応用するのが有効なのです。