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   実践!生産革新道場:直感を事実にするための証拠固めを行え

 

1:外観不良が大量に流出した

ある工場で外観不良のクレームが発生しました。製品にキズが付いていたのですが、かなりの数量が流出したため、検査体制に問題ないか私の研修で調べることになりました。私は管理者に「客先でかなりの数の外観不良が発見されたが、この製品は出荷検査で全数検査を行なっている。なぜ全数の出荷検査で発見できなかったのだ」と質問すると、管理者は「私は現場で状況を確認しましたが、4Mの変化点もないし、理由がよく分からないのです。取り敢えず検査員にはクレームの内容を説明して、注意を促しました」と漠然とした答えでした。私は現場に行き検査員に直接、聞いてみましたが「当日は特に変化点もないので、なぜ流出したか分からない」との回答でした。しかし、私は管理者と検査員の表情や態度から何かを隠しているような雰囲気を感じたのです。

 

2:物的証拠を探せ

私は管理者や検査員の雰囲気から直感的に「何か隠している」と感じましたが、検査データや4M変化点の記録など、品質記録には異常がありませんでした。私は検査員や班長に「当日は出荷に追われて検査を飛ばした可能性はないか」「新人や応援者の変化点は無かったか」など、繰り返し質問したのですが、「特に何もありませんでした」と答えるばかりでした。私は問題発生時には現場の様子や不良品の現物、データや記録などの物証で事実を明らかにしていきますが、これで異常が無い場合には管理者や作業員の証言で事実を追って行きます。証言でも異常がなければ、仮説を立てて推測して行くのですが、今回は直感的に管理者や作業員が何かを隠していると感じたので、仮説ではなく証言か物証で事実を明らかにしたいと思い、いろいろ考えました。私は「出荷に追われて検査を飛ばした場合、それを証明するデータや記録はないか」と考えたところ、「当日の検査の一人あたりの出来高を確認して、それを標準作業時間と比較すれば良いのでは」と思い付きました。そして管理者に「当日の検査の出来高のデータを持って来なさい」と指示したのです。

 

3:物的証拠で直感を事実にする

当日のデータが集まったので、私は管理者に「検査員毎に1時間あたりの出来高を算出しなさい」と指示しました。そしてその数字を標準時作業時間で計算した1時間あたりの数量と比較してみたのです。すると当日は約1,5倍の出来高となっていました。私は管理者に「おかしいではないか!なぜ当日は標準作業時間より1.5倍の数量を検査出来たのだ。検査を飛ばすか、検査工程を省かない限り、物理的にこの数量をこなすのは不可能ではないか!」と詰問したのです。管理者は物的証拠を突き付けられたので、反論できず「申し訳ありません。実は当日出荷に追われており、検査員に出来る限り早く検査を行えと指示しました。その結果、検査員が正しい検査を行わなかったと思います」と答えたのです。検査員に確認したところ、管理者が早く検査しろと言うので、不良が少ない項目は目視検査を行わずに出荷したことや、クレーム発生後は管理者から「急いで出荷したとこは誰にも言わないように」と口裏を合わせる指示も出ていたことが判明したのです。私は間違ったことを素直に言えば怒りませんが、ウソを付いた場合には当人の将来のため、会社のために怒鳴り付けることにしています。今回も管理者を検査員の前に立たせて、大声で怒鳴り付けた後、社長の前に突き出して「私が手抜き検査を指示して隠蔽工作を行いました」と自ら言わせたのです。

 

普段の仕事でも現場や管理者の様子から「何かおかしい」「何か隠しているのでは」と直感的に感じることがあります。この感覚を裏付ける証拠固めを行うことにより、直感が事実となり、問題の原因を明らかにすることが出来るのです。