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 実践!生産革新道場:第348回:管理者に作業標準書と作業を完全に一致させろ


1:作業標準書と違う作業を行っていた

ある工場で日本時駐在員から次のような相談を受けました。「先日客先で大きなクレームが発生しました。主な原因は作業員が作業標準書通りの作業を行っていなかったことです。そこで管理者に作業員が作業標準書を守っているかを確認するプロジェクトを行わせました。数日前にその結果が上がってきたのですが、全ての作業員が作業標準書通りの作業を行っているとの回答だったのです。この結果が正しければ良いのですが、管理者が本当に確認したのか、漏れは無いかと心配です」


私はプロジェクトの担当者を呼び出して内容を確認しました。担当者は「全ての工程で作業標準書と実際の作業を比較確認しましたが、全ての作業員が作業標準書を正しく守って作業を行っていました」と報告したのです。私は「それでは、現場で確認しよう」と担当者と共に現場に入り、作業の様子を確認しました。ある工程で作業標準書と実際の作業を比較確認したところ、作業の順番が違っていました。よく見ると、この工程の他の作業員も作業標準書と違う順番で作業を行っていたのです。私は担当者に「作業標準書と実際の作業の順番が違うでは無いか」と詰問したところ、「作業標準書通りの作業を行うと、作業が遅くなってしまいます。作業の順番を入れ替えても問題ありませんから、この順番で行っているのです。」と答えたのです。


2:僅かな違いは問題なしと理解していた

私は「お前は全ての作業員が作業標準書を守っていると報告したではないか。この工程では作業員が作業標準書と違う順番で作業を行っているぞ」と再度、指摘しました。担当者は「作業標準書と作業の順番が僅かに違っているだけですよ。品質には問題が無いし、生産性はこちらの方が良いのです」と答えたのです。「品質や生産性の話を聞いているのではない。私は作業標準書と作業の順番が違っていると指摘しているのだ」「それは分ります。しかしこの順番の方が作業が早いのです」このように担当者は作業標準書と同じ作業をしていれば、順番が僅かに違っても構わないと理解していたのです


3:作業標準書と作業を完全に一致させよ

このように「作業標準書と実際の作業が僅かに違う程度は問題ない」と考えている管理者は意外と多く、これが問題発生の原因となっていることが多いのです。私は管理者を集めて、次の3項目を説明しました。


1.作業標準書と作業は完全に一致させる

作業標準書とは作業の目安を書いてあるのではなく、指示書と同じですから作業標準書と作業は完全に一致させる必要があります。管理者は作業員に作業標準書と完全に一致する作業を行わせる責任があります。ですから、管理者は僅かと言えども作業の順番を変えたり、作業標準書に無い作業を付け加えたり、作業標準書にある作業を行わなかったりするなどは絶対にしてはいけないのです。


2.作業標準書を守っていなければ注意する

作業員には日頃から作業標準書を厳守する重要性を説明して理解させます。そして作業員が作業標準書通りの作業を行っていなければ、その場で注意を行います。管理者が「僅かに違うのだから問題ない」と黙認してしまうと、作業員は徐々に守らない項目が増えて行き、大きな問題発生に繋がる可能性があるのです。


3.作業標準書が守れない場合は直ちに修正を行う

作業標準書通りの作業を行うと作業が遅くなる、品質に悪影響を与えるなど問題が出る場合は関係者に連絡して作業標準書の修正を行います。修正に時間が掛る場合は暫定の作業標準書を掲示して、常に作業標準書と作業を一致させます。


管理者の「僅かな違いなら問題ない」との安易な発想が、大きな問題に繋がることがあります。管理者には常に作業標準書と作業は完全に一致させるとの考え方を持たせることが大切なのです。