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  管理者に現場の問題を発見させる手法

     

1: 管理者が問題を発見できなかった

私はある工場で生産性向上の現場研修を行っていました。この工場では管理者も参加して改善活動を進めているので、私は管理者に「今月は何件、改善提案を行ったのだ」と質問しました。管理者が答えた件数は目標件数をはるかに下回るものでした。私は「改善とは小さな問題を数多く対策することだ。現場には小さな問題が数多くあるのになぜ改善件数が低いのだ」と詰問しました。

 

管理者は「私は毎日、小さな問題を発見するために現場に行っていますが、問題が見付からないのです」と答えたのです。私はこの管理者を指導するため、一緒に現場の状況を観察しました。現場では作業員がデータを転記していたり、ムダ歩きをしていましたが、管理者はこれらを見ても問題と認識できなかったのです。私はこの管理者は問題発見能力が欠けていると判断して、現場の問題発見のポイントを指導したのです。

 

2:管理者に現場の問題を発見させる手法

管理者は現場の問題を発見して改善することが大切ですが、管理者の中には問題を見ても問題と認識できない人がいます。視覚的には問題を見ているのですが、これが問題であるとの考え方がないために問題と認識できないのです。

 

管理者が問題を発見できなければ、改善することができませんから、問題は延々と続くことになります。管理者に現場の問題を発見させるためには、次の3項目を正しく理解させることが大切です。

 

1:目的を持って観察する

管理者が現場やデータをぼんやりと見ていても問題を発見することはできません。管理者が現場を観察したり、データを確認する時には「このような問題を発見する」との目的を持つことが必要です。この目的ですが下記のようなものがあります。

1)違いが無いかを観察する

「AさんとBさんの作業を比較して、動作に違いがないかを観察しよう」「AさんとBさんの伝票処理枚数に違いが無いかを確認しよう」このように現場で複数の人の作業を比較してその違いを観察するようにします。

2)ばらつきが無いかを確認する

「Aさんの梱包作業で時間によるばらつきが無いかを確認しよう」「ライン毎に生産高のばらつきが無いかを確認しよう」このようにデータで時間毎、ライン毎、機械毎、人毎にばらつきが無いかを確認します。

3)作業標準書と比較して観察する

「Aさんの作業の手順を作業標準書と比較して観察しよう」「Bさんの作業時間を作業標準時間と比較して観察しよう」このように作業標準書や作業標準時間などの標準と実際の作業を比較して観察します。

 

2:ムダのチェックシートを使用する

改善では現場のムダを発見することが大事です。特に小さなムダはその場で改善を行うことができるため、なるべく小さなムダを数多く探し出すことが大切なのです。現場のムダには、動作のムダ、スペースのムダ、歩行のムダ、手待ちのムダ、運搬のムダ、手直しのムダ、ばらつきのムダ、繰り返しのムダ、迷うムダなど数多くありますが、これらをまとめて観察することは難しいものです。

 

現場を観察してムダを発見するには、ムダの具体的事例をまとめたムダ発見用のチェックシートを使用することが有効です。チェックシートの項目は「転記作業はあるか」「チョコ停が発生しているか」「やり直しや手直し作業はあるか」「作業者の手待ちはあるか」「作業員が出歩いていないか」などと、

現場で発生しやすいムダをまとめておきます。管理者がこのムダのチェックシートを現場で使用することで、ムダの発見が容易になるのです。

 

3:立場を変えて観察する

客先の工程監査を受けた際に、管理者が気が付かなかった問題を指摘されることがあります。これは自社の管理者と客先の監査担当者では立場が異なるために、現場の見方が異なるからです。ですから管理者が現場を観察するときには「自分が客先の工程監査の担当者として現場を観察しよう」「自分が社長として現場を観察しよう」「自分が後工程の担当者として現場を観察しよう」などと立場を変えて、現場を観察するようにします。

 

立場が異なれば見方が変わってきますから、普段気が付かなかったことでも発見できるようになるのです。立場を変えて観察するには想像力が必要となりますが、これを実践することで新たな問題を発見できるようになるのです。