作業標準書の重要性は管理者の感情に訴えよ
1:作業標準書が無かった
ある工場で不良品が客先に流出するクレームが発生しました。この製品は工程内で手直し品が頻繁に発生するため、手直し品には赤い印を付けて識別管理を行っていました。今回流出したクレーム品は工程内の手直し品でしたが、赤い印が付いていませんでした。私は「手直し品の正しい管理方法を知りたいので、手直し品の作業標準書を出してくれ。」と管理者に指示しました。すると管理者は「手直し品に関しての作業標準書はありません。」と答えたのです。私は驚いて理由を質したところ、「この部署の作業員は、勤続年数が長くベテランばかりです。赤い印を付けることは、みんな知っていますよ。」と答えたのです。
2:作業標準書の重要性を理解していない
この管理者は「作業員はベテランばかりだし、手直し品に赤い印を付けるのは何年も行っており、誰でも常識として知っているはずだ。だから作業標準書など必要ない。」と理解していたのです。工場では作業標準書を作成することには熱心ですが、作業標準書の重要性を管理者に説明して、現場で活用させる教育を行っていないことが多いのです。これでは作業標準書を作成しても現場で活用されないし、作業ミスによる品質不良も減少しません。私は管理者集めて作業標準書の重要性を下記のように説明したのです。
3:管理者への説明の内容
今回のクレーム発生により、管理者は上司から注意されたり、対策書を書かされたりなど嫌な思いをしたり、仕事が増えたりしています。このような品質問題を防ぐためには作業標準書の管理を行うことが大事です。作業標準書の管理を正しく行えば、作業員のエラーが減少して品質問題も無くなり、管理者の仕事も楽になるのです。作業標準書は管理者にとって次のようなメリットがあるのです。
作業標準書のメリット
1)作業方法を意識付ける
作業員は自分の作業は間違いがないと信じています。しかし、長い間同じ作業を行っていると無意識のうちに作業方法が徐々に変わってしまうことがあります。このような問題を防ぐためには作業標準書を作成し、定期的に教育を行うことが必要なのです。
2)作業の間違いを防ぐ
毎日同じ作業を行っていると集中力が欠けて、作業をうっかり間違えたりするミスが発生することがあります。作業標準書を掲示して、これを定期的に読ませれば作業への意識付けが出来てミスを減少させることが出来ます。
3)応援者のミスを防ぐ
ベテランの作業員が欠勤したときには、他の部署からの応援者が入ることがあります。作業方法が分からない応援者に確実に作業方法を教えるには、口頭で教えるのではなく、作業標準書を使い教えることが大事なのです。
管理者には作業標準書の管理を行うことにより「自分の仕事が楽になる」ことを協調して説明しました。誰でも品質問題やクレームなどが発生して、上司から叱られるたり、仕事が増えるのは嫌なものです。作業標準の重要性は、管理者の感情に訴えて理解させることが有効なのです。