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 実践!生産革新道場:第346回:品質管理のために作業員に作業の意味を理解させろ


1:クレームに確認済みの印が付いていた
ある工場で製品にネジを付け忘れたクレームが発生しました。私は管理者に「ネジの付け忘れのクレームは再発ではないか」と確認したところ「その通りです。去年もネジの付け忘れのクレームが発生していますから再発です」との回答でした。私は「前回のクレームの対策書を持ってきなさい」と指示してその内容を確認しました。


「対策書にはネジを付けたあと、目視でネジが付いていることを確認して、ネジの下にマジックで確認済の印を付けると書いてあるが、その通りに行っていたのか」と質問したところ、「作業標準書に従って作業を行っていたはずです。しかし、今回のクレームはネジが付いていなかったのですが、確認済の印は付いていたのです」と困ったような顔をして言い出したのです。


2:確認済みの印の意味を理解していなかった
私は管理者と共に現場の様子を確認しました。「目視で確認したあとマジックで印を付けているが、ずいぶんと多くの箇所に付けているな」「前回のクレームではネジの付け忘れは1ヶ所だけだったので、その箇所だけに印を付けていたのですが、社内の出荷検査でネジの付け忘れが見付かる毎に印を付ける箇所が増え、今では多くの箇所に印を付けることになりました」「作業標準書には印の意味を記載していないが、作業員は意味を理解しているのか」「班長が教えているから大丈夫です」


私は心配になったので確認のために作業員全員に「この印は何のために付けているのですか。その理由を教えて下さい」と質問したところ、最近入った新人が答えることが出来なかったのです。さらに「この箇所にネジを付け忘れると客先でどのような問題が発生しますか」と質問したところ、誰も答えることが出来なかったのです。


3:作業員に作業の意味を理解させろ
作業工程や検査で確認した証拠として、マジック等で印を付けることは良くありますが、作業員がその意味を理解していないケースが意外と多いのです。作業員は印を付けることが決まった当初はその意味を理解していても、時間が経つにつれて意味を忘れてしまったり、新人や応援者に印の意味を教えず作業を行わせたりするケースがあるのです。これが常態化すると確認することが作業ではなく、印を付けることが作業になってしまうのです。


私は管理者に「何のために印を付けているか知らない作業員がいるぞ。作業員は印を付けることが作業だと勘違いしている。これではネジがなくても印を付ける可能性があるぞ」と指摘しました。そして管理者と班長を集めて、「作業員が常に作業の意味を理解するようにはどのようにしたら良いのか。この場で対策を協議せよ」と指示ました。管理者と班長は協議を行い、下記の対策を立案したのです。


1.作業標準書に意味を記載する
作業標準書には「印を付けろ」とだけ書いてあったため、印の意味を追記することになりました。今後は確認作業などを追加する場合には必要に応じて意味を記載することも決定しました。


2.作業の意味を教える
作業員は自分が行っている作業の意味を知る必要があります。何のために印を付けているのか、その意味を朝礼やミーティングなどで定期的に教えることにしました。新人や応援者が入る際に行う作業訓練の時にも意味を教えることをルール化しました。


3.管理者が抜き取り検査を行う
管理者が定期的に行っている工程パトロールのチェックリストに「作業員が自分の作業の意味を理解している」の項目を設けて、作業員にインタビューして確認するようにルール化しました。


今回の問題のように作業員が作業の意味を理解していないと、間違った作業を行っていても気が付かずに、不良が発生したり、流出することがあります。作業員には常に作業の意味を教えて理解させることが必要なのです。