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    実践!生産革新道場:管理者は新人の班長に自信を持たせろ

 

1:製品の梱包間違えが発生した

ある工場で製品を間違えて梱包してしまった問題が発生しました。 Aの製品を B の製品箱に入れて倉庫に入庫してしまったのです。出荷検査でこの問題が発見されたのですが、客先に流出する可能性がありました。私は梱包の管理者に「製品を箱に詰める時に、間違いが無いかを確認するルールになっているか。」と質問しました。管理者は「梱包を行う作業員が伝票を見ながら、製品と製品箱が合っているかを確認するルールとなっています」と答えました。

 

「問題発生時に作業員は伝票を見ながら確認を行ったのか」「確認はちゃんと行いました。」「どうして確認を行ったと言えるのだ」「梱包を担当した作業員が確認したと言ったからです」と答えたので、私は驚きました。「作業員が確認を行ったという証拠はどこにあるのだ。確認を行ったなら、なぜ製品と製品箱が違っていたのだ」と追及したところ、管理者は「今後は製品と製品箱を確認したら、伝票に確認済のマークを記入するようにします」と説明したあと、すぐに班長を呼んで対策を指示しました。ところが班長は「それは出来ません」と言い出したのです。

 

2:自信を持てない班長

私は班長に「なぜ確認のマークを付けることが出来ないのか」と質問しました。班長は「作業員はとても忙しいのでマークなど付けている時間がありません」と言い出しました。伝票の数は多いとは言え、マークを付けるのは僅かな時間です。そのことは班長も分かっているはずです。私はさらに出来ない理由を追求したところ「私は先月、班長に昇格したばかりです。まだ指示を出すことに慣れていないし、指示を出すと仕事が増えたと反発する作業員もいるのです。指示を出しても作業員が従ってくれないことがあるので、班長として自身を持てないのです」と本音を言い出しました。

 

3:管理者が班長に自信を持たせろ

私は班長の様子から対策を指示して作業員に納得させることは難しいと感じました。そこで班長に「作業員を納得させるにはどのようにしたら良いのか」と意見を聞いたところ、「上司から指示をメモでも良いので文章にして下さい。ミーティング時に指示書を読み上げれば作業員は上からの指示だと言うことで納得すると思います」と言いました。そこで私は管理者に指示して下記のようにさせたのです。

 

1)文章で指示書を発行した

班長の希望通りに管理者に対策の指示書を発行させました。班長がミーティング時に指示書を読み上げることにより「上からの指示だから対策を実行して欲しい」と納得させると同時に班長の精神的な負担も軽減できたのです。

 

2)管理者にミーティングに立ち会わせた

通常のミーティングは班長と作業員で行うのですが、今回は管理者を立ち合わせました。管理者は発言しませんでしたが、作業員は管理者がミーティングに立ち会っていることを見て、これが重要な指示であると認識したのです。

 

3)班長に指示のフォローを徹底させた

班長は指示を出す時に管理者に手助けしてもらいましたが、指示のフォローは班長に行わせました。当初は反発する作業員もいたようですが、班長は「上からの指示なのだから守りなさい」と言い続けて、指示を守らせたのです。

 

作業員から班長になったばかりは気持ちの整理ができず、今までの同僚に指示を出すのに気後れしてしまう気持ちは分かります。同僚だった作業員も新しい班長には反発しがちです。この状態でムリに班長に管理を押し付けると「作業員に戻りたい」と言い出したり、退職してしまう可能性があります。新人の班長は最初の段階では指示を出す時に管理者が立ち会うなどのフォローを行い、徐々に自信を付けさせることが必要なのです。