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実践!生産革新道場:第321回:生産性向上を阻害する運搬のムダの背景とは

 

1:測定結果が分からず機械が止まっていた

ある工場で「運搬のムダの削減」をテーマに生産性向上の指導を行っていました。ラインの機械が止まっていたので、担当の管理者に質問したところ、「機械の調整が先ほど終了して、最初の1個目の寸法を QC が測定している最中です。 QC が合格と判断すれば、直ちに機械をスタートさせ生産を開始します」との回答でした。担当の班長に聞いたところ「 QCの寸法測定は15分程度で終わるのですが、今朝は1時間近く経つのに回答がありません」と言うので管理者を連れてQC の部屋に行きました。QCの担当者に「製品の寸法測定は終わったのか。測定結果が分らないから機械が止まったままだぞ」と 詰問したところ「寸法測定はとっくに終わっていますよ。結果は合格です」と言い出したのです。私は「 QC は寸法測定が終わったと言っているが、製造は寸法測定の結果を待っていると言っている。一体どうなっているのだ」と大声を上げました。

 

2:測定結果の連絡のルールとは

私は QC と製造の管理者に次のように質問しました。「 QC の寸法測定の結果はどのように製造に連絡しているのだ。連絡のルールを説明せよ」すると QCは「製造の担当者がQCに来て現物と測定結果を持ち帰る」と言い出し、製造は「QC が現物と測定データを製造に持って来るはずだ」と言い出したのです。お互いに言っていることが逆なので、双方の班長も呼び出して詳細を確認させました。すると次のことが分かったのです。

 

QCと製造の連絡のルール

1:寸法の合否の連絡は、現物とデータで担当者が確認するのが原則である。

 

(電話でのやりとりは誤解が生じるために原則禁止となっている)

 

2:正規のルールは「QC が寸法を測定後に現物と測定データを製造に持って行き、担当者に渡す」となっている。


3: QC に欠勤者が出た場合は人が足りなくなるので、製造に連絡して担当者にQC まで来てもらい現物と測定データを持ち帰る。


3:私が指摘した2項目の問題点

ルールは明確になったものの、夜勤のQCが製造に「日勤者に欠勤が出る」と連絡したようですが、担当者は帰ってしまったため「言った、聞いていない」の水掛け論になり、結局どちらが連絡するのか分からない状態でした。私は問題解決のために双方の関係者を前にして次の2項目を指摘しました。

 

1.運搬のムダを正しく認識する

運搬のムダは製品箱や台車の移動だけと勘違いしている人がいますが、部品1個、書類1枚でも運ぶものは全て運搬でありムダなのです。管理者は生産性向上のために、全てのムダに関心をもつべきであり、今回のように現物と測定データをルール通りに運搬していなかったら、直ぐにムダと認識して対策を行う必要があるのです。

 

2.「連絡ルールが不明確」「連絡の確認の欠如」を是正する

今回の運搬のムダでは連絡ルールで欠勤者が発生した場合の連絡方法や確認方法の詳細が不明確でした。さらにQC と製造はお互いに連絡がないのを知りながら、確認を怠っているなど連絡の確認が欠如していました。

 

私は上記の2項目を指摘したあと、直ちに対策を協議させました。このように運搬のムダを改善して生産性を向上させるには、管理者には「紙1枚運ぶだけでも運搬のムダである」と細かい事柄も運搬のムダと結びつけて生産性を考えさせること、そして運搬のムダの背景にあるルールの不備や連絡の欠如などの問題点を認識させることが大切なのです。