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  実践!生産革新道場:第366回:頭の固い管理者にミスを理解させる手法とは


1:改訂前の作業標準書が掲示されていた

ある工場で次のような相談を受けました。「客先で品質クレームが発生しました。作業標準書が不備だったため、作業員のミスが発生して品質の不良に繋がってしまったのです。管理者に対策を行わせましたか、3日後に今回の品質クレームについて客先の監査があります。管理者はすでに対策を全て終わっており、監査は問題ないと言っていますが、本当に問題ないのか心配です」この問題を私の研修で取り上げて、管理者にクレームの対策書を持ってこさせました。「対策書には作業標準書の改訂を行うと書いてあるが、これを行ったのか」「はい、行いました」「それでは作業員が作業標準書通りの作業を行っているかを確認しよう」現場に行って作業標準書を確認してみると、改定前の作業標準書が掲示されていたのです。


「この作業標準書は改定されていないぞ」「その通りです」「お前は先程、作業標準書は改定済みと言ったではないか」「作業標準書は生産技術で改定済みのはずです。しかしまだ製造は受け取っていないのです」私は驚いて「いつ製造に渡すのだ」と詰問すると「分りません」と答えました。私は「3日後に顧客の監査があるのに改定済みの作業標準書がいつ届くか分りませんとは何事だ!」と怒鳴り付けたのです。


2:ミスを相手に理解させる手法とは

この管理者は頭が固いタイプで「先日の対策会議で生産技術が作業標準書を更新して製造に渡すと決めたのです。ですから製造に渡していない生産技術が悪いのです」などと自分には責任がないと言い出したのです。「お前は生産技術にいつ作業標準書を渡すのか確認したのか」「まだしていません」「なぜ確認しないのだ」「生産技術が持って来るべきではないですか。先日の対策会議でそう決めたはずです」などと同じことを繰り返すばかりです。このように管理者は本気で生産技術が悪いと思っていたのです。これでは管理者として失格なので、私は他の管理者も集めて次のような指導を行いました。


1)他の管理者の意見を聞かせる

私は管理者の前でこれらの問題を説明して、他の管理者の意見を聞きました。管理者からは「それは生産技術に確認すべきです」と常識的な発言がたくさん出ました。中には私の代わりに「あなたの考え方を間違っていますよ」と指摘する人もいました。このように他の管理者の考え方を理解させたのです。


2)PDCAが出来ていないことを理解させる

私は問題の管理者に「PDCAを知っているか」と質問したところ、「もちろんです」と答えました。「それではお前はそれに従って仕事をしているのか」と詰問したところ「もちろんPDCAで仕事を行っています」と答えたので、「いや、それは違うぞ」と指摘したのです。「作業標準書の改訂を行うのはPDCAのどの段階だ」「プランです」「実際に改定を行い、製造に渡すのはどの段階だ」「ドゥーです」「それでは、製造に改定後の作業標準書が来ているかどうかを確認するどの段階だ」「チェックです」「チェックしてもし来てなければ、PDCAに従って次に何をすべきなのだ」と詰問したところ、管理者は言葉に詰まってしまいました。「チェックして問題があれば、次はアクションではないか。この場合は具体的にアクションとは何をすべきなのか説明せよ」と迫ったところ「改定後の作業標準書が来ていなければ、生産技術に確認すべきです」と答えたのです。


このように自分の仕事が完結していないことを、一方的に相手が悪いと決めつけている頭の固い管理者を論破するのは「他の管理者の意見を聞かせる」「PDCAが出来ていないことを理解させる」とこの2項目で指導することが大切なのです。