在庫管理の問題は複合問題
1:在庫の数量が合わない
月末の棚卸しの際に在庫のデータが不正確なので困っています。また特急品の出荷のため工程内在庫を確認させると数字は出てくるのですが、間違っているケースが多くお客様にご迷惑を掛けることも頻繁に起きています。
2:在庫管理の問題点
最近はどの工場でもJITにより出荷が厳しいので、在庫の間違いは命取りになるケースが増えています。私のコンサルタント先でも在庫管理の検証はテーマになることが良くあります。在庫の問題には下記のような原因が多いのです。
2.1:5Sによる問題
ものの置き場所が決まっていない。決まっていても守られていないなど作業員の判断で適当な場所に置いてしまうため、在庫確認時に漏れが生じる。
2.2:表示用紙のフォーマットの問題
製品名、ロット番号、数量などを記載している表示用紙の数量記載の箇所が小さすぎて、記入した数字が見難いケースもある。
2.3:表示用紙の貼り位置の問題
表示用紙を製品箱に付ける位置のルールがない。作業員が勝手に付けるため見づらい。テープで表示用紙を留めているため途中で紛失する、一箱一枚の原則を守らず複数枚付けてしまう。
2.4:表示用紙の管理の問題
記入すべき項目に何も書いていない。数字を下手な字で書いている。間違えた数字を線で消した上に書き直している。英語を知らない作業員が英語を書くため分かり難い。
2.5:数量管理の問題
製品箱に入っている製品の数量が表示用紙の数量と合わない。不良品や抜き取りなどで減った数量を記入していない。実数を数える箇所で数えておらず、表示用紙の数字を使い計算している。実数を数える際に紙の切れ端に数字を書いているため、間違えやすい。数字の計算時に検算しないため、計算間違いの数字を記入する。パソコン入力の際に入力間違いをする。
2.6:ルールの問題
在庫数量を一斉に調べる際の時間が不明確、不徹底なため数字の重複や消滅が発生する。在庫確認の時間に払い出しや受け取りが行われるため、不正確な数字となる。在庫をどの順番で確認するかのルールが不明確である。ロットNGや特別な検査などで製品が正規のルート以外に移動した際の在庫確認のルールがない。
2.7:情報ルールの問題
在庫を確認する、在庫を集計する、集計したデータを配布するなどの情報のルール(時間、担当者、連絡方法など)が不明確である。情報のルールは明確であるがコミュニケーションが悪いため守られていない。欠勤者がいるとルールに混乱が生じる。在庫異常の有無の検証ルールがないため、在庫の異常が分からない。
2.8:コミュニケーションの問題
在庫管理に関わる担当者同士の人間関係が悪く、情報を伝えない。緊急時なのに連絡せず「相手が聞きに来ないので連絡しなかった」などの言い訳をする。相手に直接言うのが嫌なのでメールを使ったり、部下同士で連絡させるため誤解や時間のずれが生じる。
3:在庫問題は複合問題
一般的に在庫の問題は単純にシステムの問題だけと思われがちです。そのため「ちゃんと表示をしろ」「確実に勘定しろ」などの指示になりやすいのです。しかし裏では人間関係が悪いため、お互いに連絡しない、アドバイスしないなどの問題が潜んでいることが多いのです。在庫問題には複合的な問題が絡んでいるケースが多いので、現場で現物を見て、担当者から徹底したヒアリングを行い、真の原因を探ることが大事です。