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            正しい指示の出し方 (その4)

 

先日、毎月セミナーを行っている日系企業でいつも作業服を来ている日本人の社長がワイシャツにネクタイだったため「今日はお客さんがいらっしゃるのですか?」と尋ねたところ「いや、今日は私がお客さんなのです」と言われて面食らいました。意味が良く分からず聞いてみると、なんと社長は自分がお客さんに扮して職場巡回を行っていたのです。この会社では従業員のしつけを厳しく行っているのですが、お客様が工場見学にいらした際、お客様とすれ違った従業員が会釈をしたり、お客様と目が合ったら軽く頭を下げるなどのしつけを徹底するために、月に1回ほど社長自らがワイシャツを着てネクタイを締め、お客さんに扮して職場を巡回しながら挨拶、態度を自らチェックしていたのです。

 

私も駐在員だった時は工場監査や工場見学の際はタイ人管理者に「今日はお客様が来るから従業員にお客様の方を見たり、指を差したりしないように指示しておくように」と注意したものでした。ただ日ごろから定期的にこのような教育を行っていないため新入社員は指示の意味が良く分からず、お客様をじろじろ見たり指を差して笑ったりとお客様に対して恥ずかしい思いをしたこともあります。また今は職業柄、数多くの工場に出入りしていますが、廊下を従業員が走ってきてぶつかりそうになったり、作業中に隣の人と話しをしており、私が近づいても話しを止めなかったりと従業員へのしつけが甘いなあと思わせる工場もあります。お客様が来るからその日だけを取り繕うのではなく、しつけはやはり日ごろからの教育が大切だと思います。その意味では社長自らがお客に扮して日常的にチェックしている姿を見て本当に感心しました。

さてタイ人管理職に理解してほしい、正しい指示の出し方ですが 5W1Hを理解する 指示の理由説明する 固有名詞、数字の確認 直接現場に行き指示を行うの4項目を挙げましたがこの他にも次のようなことが大事です。

わかりやすい言葉遣い、言い回しを行う。
現場の従業員は、年齢、学歴、職歴、経験などが異なります。これらの人達にわかりやすく伝えるには、一番レベルの低い従業員を基準にして話をすることが大切です。特に気を付けなくてはいけないのは、自分が理解できることは相手もすぐに理解できると勘違いすることです。従業員の入れ替わりの激しい状況では担当の職場内の3分の1が入社1年未満と言うことも珍しくありません。このような状況では他の課との関連、社内の専門用語などを理解できていないことも有り得ます。もっと極端に言えば若い従業員の中には「品質」「納期」「売り上げ」などの言葉の意味を理解していない人も現実に数多くいるのです。この事実は実際に自社の従業員に聞いてみればすぐに分かります。「売り上げ」を「会社の利益」と勘違いしていたり「品質」の意味を「値段が安いこと」と理解している従業員など現実にいるのです。現場で働いている従業員は小卒、中卒のところが大半だと思います。これらの人たちにとって「売り上げ」「品質」「納期」「コスト」などは日常ではあまり使わない言葉ですから、会社でこれらの言葉の意味を何回も繰り返し説明していかないと理解できないのです。このことは日本の中学校や小学校の生徒で「売り上げ」「品質」「納期」「コスト」などの定義をはっきり説明できる人はどのくらいいるか考えてみればすぐに分かると思います。

またタイにも方言があり、イサーン方面や東北出身者の方言はバンコク出身者には聞き取れないことがあります。もちろん従業員は共通語としてバンコクの標準語を使っていますが、管理者として指示を出す時はここまで本当に理解して相手のレベルに合せて指示を出すことが大切です。ただこのように相手のレベルまで合せることのできるほど気配りのある人は少ないうえ、この点に関しては個人差が大きいのですが、「あの人の指示は難しくて分からない」と従業員に言われたら管理者として失格であるということを理解して努力してほしいと思います。