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            効果的な雰囲気作りの手法とは

 

このコラムに当方の連絡先を掲載したところ、多くの方々よりご感想やご意見をお寄せ頂いております。大変参考になる事柄が多く感謝しております。またご質問の中には時勢を反映して「不況の影響で従業員のボーナスのへの支給も影響がでそうだ。これをうまく納得してもらうにはどのようにしたらよいか」というものがいくつかありました。今年の前半は増産で走ってきたなかで、ここに来て為替の変動などにより生産調整に入っている企業もあると思います。

 

このような企業では従業員は「景気が悪くなったとはいえ今年の前半はかなり残業をしたのだから、これはボーナスに反映されるだろう」と前半の残業を多く行ったイメージが残っており期待している部分もあるかと思います。ここの部分は感情的なものだけに何の前触れも無くいきなり下げたりすると反動が出てくることも有り得ます。この感情的な部分で納得してもらうには、「多少下がってもやむを得ない」との事前の雰囲気作りが一番大切になってきます。この雰囲気を作りだす管理手法としては以下の事柄が考えられます。

1 社内報の活用
社内報を発行している会社はこれに業績の推移を毎回載せて、コメントを入れておく方法があります。業績に関してはタイ人管理者は理解していても彼らは末端の従業員には詳しく説明していないケースが多く意外に浸透していないものです。ですから直接、従業員に理解させる広報活動としてこの社内報を利用するのも良いでしょう。社内報は全員に配布するのではなく、掲示板に張っておく方法だとコストも安く済みます。

社内報といえば先日、訪れた日系企業では社内報を社員教育に活用しており、5Sキャンペーンの一環として社内報に5Sのクイズを載せており、解答者には抽選で文房具が当たるようになっていました。これで従業員に5Sの意識付けができれば社内報のコストも十分回収できると感心しました。このように日々の細かい管理で意識付けを行って行くことが大切です。

2 業績のグラフの掲示
これは良く使う方法ですが注意して頂きたいのは売り上げを明示する時は、「売り上げ」と言う言葉の意味を必ずわかりやすく書いておくことです。現実に私が工場管理を行っていた時にこの業績の掲示を行っていましたが、従業員の中になんと「売り上げ」の言葉の意味が分からず「売り上げ」を「利益」と理解して「これだけ利益があるのになぜ給料に反映されないのだ」と従業員に言われたことがあります。何度も強調しますが今働いている人達はタイで初めて企業で働く世代の人達ですから、「売り上げ」の言葉の意味を知らない人がいるもの当たり前の事なのです。業績の説明の際は「売り上げ」などの言葉の正しい意味から理解させて行くようにしなければいけません。

3 コストダウン運動の推進
コストダウンを運動を全社的に進めることにより、業績が厳しいことを理解させて行きます。当社が行っているコストダウンセミナーでも依頼先の企業に行き、タイの新聞に載っている企業の倒産記事をキャンティーンの掲示板に張り出して従業員に不景気の現状を印象づけることを行っています。

 

人間の心理はどこの国でも同じで倒産のような他人の不幸には関心が強く、倒産記事をキャンティーンに貼り出しておけば食事中に「あそこはこのような理由で潰れた」「友人も失業した」「次はあそこが危ないらしい」など不景気の話題になり知らず知らずのうちに「景気が悪くどの企業も厳しい」との心理状態を作り出せ効果的です。ただ単純に倒産企業の記事ばかり貼り付けるとこちらの意図を見抜かれてしまうので「世間ではこのような状況になっているため当社でもコストダウンが必要だ」と必ずコストダウンに結び付けて貼り出すことが大切です。

会社で働くのは「お金のため」との感覚を持っている人が多いのですから、金銭的な部分で納得させるのは大変難しいものがあります。皆さんもご経験があるかと思いますが、会社の景気の良いときにボーナスをかなり出したにもかかわらず「他社はもっと多いですよ」と不満を言われたり、昇給率を大幅に上げたところ個人的な相談あると言われ、聞いてみると「どうして給料が少ししか上がらないのですか」と責められたりなど金銭的な問題では苦労していると思います。

 

私も工場管理を5年間行い、管理者の査定も行っていましたが5年間でただの一人も「今回のボーナスは多くもらえてありがとうございました」「昇給率が多くて嬉しいです」などの感謝の言葉を言ってくれた人はいませんしでした。人間の心理としてお金だけは貰いすぎて困ると言うことはありませんから、金銭の欲求には限度がありません。

 

仮に今の給料を倍に上げてもすぐに「前は2倍だから今度は3倍になるに違いない」と際限がありません。ですからこれを理屈で納得させようというのは大変なことです。このように感情的な部分を納得させるには理屈よりも雰囲気作りの方が効果的なことがあります。ボーナス直前になってあわてて「当社の売り上げが不振である」と知らせても「ボーナスの額を減らすため急に言い出した」と簡単に見抜かれてしまいますから、やはり日々の雰囲気作りが大切です。雰囲気作りにはこの他にもいろいろあると思いますので、各社でアレンジして取り入れてみて下さい。