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                           日本的経営終焉の時か

 

最近、新聞をにぎわせている神奈川県警の不祥事には本当に驚かされます。今回の相次ぐ不祥事はそのほとんどが内部告発によるものです。組織の犯罪を内部から告発するのは日本の社会では勇気が要るだけに賞賛されるべき行為です。

しかし経営と言う目でこの事件を見ると「日本的経営の崩壊の兆し」と捉えることが出来ます。本来、官公庁や企業は「機能集団」です。機能集団とは「特定の目的を持ち、それを実現するために必要な働きを効果的になすべく結合した集団」のことです。これは欧米やアジア諸国でも通用する概念です。しかし日本では官公庁や企業は本来「機能集団」であるべきにもかかわらず「共同体」になっています。

共同体とは「血縁・地縁・感情的なつながりを基盤とする人間の共同生活の様式、相互扶助と相互規制を主眼とする組織」となります。日本人の特徴の一つとして一緒に働いた人を共同体の一員として認めることにあります。「あいつとは同じ釜の飯を食った仲だ」の言葉の通り、同じ仕事を通じて同じ経験を共有する事により共同体の一員としての連帯感が醸成されるのです。

共同体の特徴としては「二重規範」があります。これは共同体の中と外では規範が異なると言う事です。外の社会では悪い事でも共同体の中では正しい事とされてしまうのです。

悪い例えで申し訳ないのですが、読者の皆さんの会社が公害を出しているとしましょう。あなたは社内で「公害を出しているのは良くない」と常に訴えています。ところがマスコミが嗅ぎ付けて「あの会社は公害を出している!!」と大々的に報道しました。あなたはどうしますか。マスコミのインタビューを受けて「私の会社は公害を出している!私は証人になる!」とハッキリ言えるでしょうか。恐らく社内の全員が共同体防衛のため一致団結して、日ごろの自分の主張など引っ込めてしまうことでしょう。

機能集団である欧米の汚職、脱税、インサイダー取り引きなど企業犯罪の発覚は大半が内部告発によるものです。機能集団は二重規範ではありませんから外で悪い事は中でも悪いのです。

共同体はその家族的な連帯感のためにものすごい力を発揮することがあります。共同体の名誉、発展は自分の誉れですから全力投球します。単身赴任、サービス残業など共同体の要請は社会の規範より優先しますから甘んじて受け入れます。その代わり共同体での家族的な温かさ、連帯感を享受することが出来るのです。

今回の神奈川県警の不祥事に見られるように、外の規範で内部告発する事は共同体の崩壊に繋がる、すなわち日本的経営の基幹が崩れ去ることを予兆させます。これは会社を機能集団として捉えている世代が出てきている証だと思います。

今後は日本も官公庁や企業は共同体から機能集団へ移り変わって行くでしょう。そうなると日本人は共同体としての心の拠り所をどこに求めて行くのでしょうか、、、