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  タイ人がタイ人にタイ語で注文しても間違える?

 

皆さんもレストランに入った際に注文と違う品が出てきたり、あまりに出て来るのが遅いので店員に聞いてみると注文を忘れておりガックリきた、などのご経験をお持ちだと思います。私もレストランに入って注文する際、店員がメモもとらず復唱もしないで黙って聞いて去って行くと不安になります。それでも最近は注文の取り違いを防ぐため復唱しながら注文表に書き込み、最後にもう一度復唱してお客様の承諾を得るところが増えてきました。確かにこのようにすれば注文の取り間違いは防ぐことができます。これは私たちから見たら当たり前の事柄ですが、タイ社会では近年までなかった事柄で私たちのはここからいくつかの教訓を学ぶことができます。

システムの構築
通常、マネージャーはお客様から注文の間違いのクレームが合った場合は担当者に「次から注意しろ」と言うだけですが、これでは担当者が何をどのように注意すれば良いのか分かりません。結局、勘の良い人が注文を担当することになってしまいます。これでは個人差が出てしまい経営的にはマイナスです。そこで昨日入った新人でも間違いなく注文を取れるシステムが必要となり、注文表と復唱、最後にお客様の承認を頂くシステムを作りあげたのです。

システムを守らせる
構築したシステムを実際に守らせることは大変です。現場で常に管理者が目を光らせていれば別ですが、管理者がいなくても決められた事柄を自主的に行えるようにするには社員教育が必要です。

このようにお客様から注文を取ると言う作業だけでもシステム構築と社員教育が必要となります。私は注文の復唱、確認はもちろん、店員のサービスが良いことで有名なタイの大手タイスキチェーン店の社員教育を視察したことがありますが、社員教育担当のトレーナーが笑顔を振りまき全体の雰囲気を明るくした後、全員が輪になって社歌を歌い、次に接客用語を全員で大声で復唱、注文の取り方の注意事項を各自に質問して理解度を確認、新入社員を拍手で迎えて抱負を述べさせ、最後は全員が肩を組んで歌いながら団結を強めていました。接客用語の徹底はもちろん、社員間の雰囲気作り、コミュニケーションの充実には本当に感心しました。このような形式の社員教育はトレーナーが恥ずかしがったり、マンネリ化を感じてしまうと効果が激減するのですが、ここのトレーナーは一目で「プロ」と分かる人材で、給与も高いと思うのですが「良い人材を引っ張ってきているな」と感心しました。

私自身もこのチェーン店にはサービスの良さが気に入って良く行くのですが、この前運ばれてきた水がカルキのような臭いがしたため、注文を取りに来た若い女性に「今日の水は何か臭いがするけどどうしたの?」と聞いてみました。この女性は「特に水のメーカーを変えてはいませんし、そのような苦情も今まで頂いておりません。ただこの件はマネージャーに伝えておきます。貴重なご意見ありがとうございました。」とハキハキと答えたので、こちらの方がビックリしました。苦情のつもりではなかったのですが、最後の「貴重なご意見ありがとうございました」と言う言葉は日本では当たり前でも、タイでは普通、聞くことができないだけにたいしたものです。普通はクレームを付けると形通りのお詫びがせいぜいなのですが、クレームを喜んでうける体制はもちろん、いやな顔をせず「貴重なご意見ありがとうございました」と社員に言わせる社員教育の徹底ぶりに感心しました。タイスキも競争が激化しており、大手でも苦しい経営を強いられている中このチェーン店は口コミでサービスが良いとの評判が凄く、夕食時はいつも行列ができているほどです。

ここで私たちの職場を振り返ってみましょう。指示のやり取りで「言ったはずだ!」「聞いていない!」などの話は日常茶飯事ではないでしょうか。レストランではタイ人がタイ語でタイ人に簡単な食事の注文しても間違えることがあるのですから、まして日本人とタイ人が複雑な内容の指示のやり取りを行う場合は、誤解、聞き間違い、思い違い、うっかり忘れを防ぐためにシステムと手法を学ぶ必要があります。タイ人管理職が「聞いていない!」と言う時はウソをついているのではなく本人はそう信じきっていますから、お互い手法を学ばず「今後は注意しよう」と言うだけでは先ほどの注文ではありませんが、何をどのように注意すれば良いのか分かりませんから同じことがまた起こります。次回からは誤解を防ぐ指示の手法について述べていきます。