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       社員は昇給に対する義務を理解していますか

 

読者の方より「今年の昇給は不況を反映してゼロになりそうだったが無理をして多少の昇給を行った。しかし社員は昇給は当然と思っておりギャップを感じている」「毎年、この時期になると社員から昇給、昇給とうるさく言われる。自分の能力が昇給に値しているのか考えて欲しい」などのご意見、ご不満を頂きました。

昨年より東南アジア全体が未曾有の不況に突入しており、各社とも4月の昇給に関しては頭を痛めたことと思います。なにしろタイ人社員は入社以来、給与は毎年大幅に上昇して行くものと理解しており、また現実にそうなってきました。それだけに今年の昇給を注視しています。今年の日系企業の昇給は業績の好調な企業を除いて、従業員は昨年度の最低賃金の上昇を持って昇給とし、管理者は全体的な平均として昇給率は去年の半分か半分以下くらいといったところではないでしょうか。長年勤めてきた社員にとっては初めて昇給率の鈍化に直面したことになり、不満に思う人もいることと思います。前にもこのコラムで書いたように「社内の雰囲気作り」から始めていろいろな方法で感情的に理解してもらうことが大切です。

また今まではかなりの率で毎年、昇給してきましたから昇給を既得権と理解して「昇給は毎年、会社の義務として行うものである」「昇給は個人の能力に関係なしに毎年行われるものである」「毎年、物価が上がるのだから給料も上がるのは当然である」と勝手に解釈している社員も多いのではないでしょうか?これらの勘違いを是正するためには会社として「昇給」の意味合いを社員に理解させる必要があります。「昇給」の意味合いは各社によって異なるかもしれませんが、少なくとも去年以上に仕事の効率を上げて個人の能力を高めてもらうため昇給があることを理解させます。これは下記の論法で説明すれば誰でも簡単に分かります。

会社の状況は「品質」「納期」「コスト」を含めて毎年、厳しくなっている。

毎年、厳しくなるのだから社員が去年と同じように働いていたら対処ができない。

厳しい状況に対処するためには、仕事の能率、個人の能力を去年より上げてもらわなければならない。

会社としては毎年、仕事の能率、個人の能力も去年より上げてもらうことに対して昇給と言う形で報いている。


単純に考えて昇給した人の仕事の能力が昇給前と全く変わらなければ、会社は昇給分の金額だけ損をすることになります。これでは昇給させた意味がありません。「厳しい状況の中、会社を伸ばして行くにはあなたの仕事も工夫して効率を上げたり、あなた自身の能力も向上させなければならない。会社はあなたの仕事の効率化、能力向上に対して昇給と言う形で報いているのだから、今年も頑張って欲しい」と昇給に対して仕事の効率化と能力向上の義務があることを説明しておくことが大切です。もしこれを理解させないと昇給に関しての勘違いが続くことになり、昇給に対しての自分の義務を知らないまま単純に「昇給率が少ない」と不満を持つようになります。これは労務管理上、大事なポイントになりますから、ぜひ社員に理解してほしいものです。