経費節減によるコストダウン(その11)
経費節減のコストダウンですが最後のステップとして「効果の確認」があります。
効果の確認
毎月、経費節減の効果が表れているか経理よりデータを出してもらい、数字で確認します。もし効果が表れていないようであれば、その原因を考え対策を立案、実施します。また効果が表れていればさらなるコストダウンのアイディアを募り、実施して行きます。
経費節減によるコストダウンのステップをもう一度まとめてみると次の通りになります。
1コストダウン委員会の発足 2問題分析 3ブレインストーミングによる対策立案 4指示書の発行 5指示書の配布、説明、6経費のグラフの掲示7ポスターの制作 8表示の作成 9定期的な説明 10職場の巡回指導 11効果の確認
経費節減のコストダウンをテーマに説明してきましたが、この経費節減の活動は基本的には従業員より経費節減のアイディアを募り、そして従業員自身が決められたことを守って行くため一種の「小集団活動」「改善提案運動」につながっています。しかし現実にはコストダウンを含めて品質、生産性、作業改善の「小集団活動」「改善提案運動」などは高度の管理手法が必要なのですが、管理職がこれらを正しく理解していないため掛け声だけでしばらくすると霧消してしまうのが一般的です。
従業員全員が自主的に運営に参加しながら活動して行き、社内の団結心を高め、問題発見、対策を従業員が考え、創造しながら解決していくことにより従業員の自己実現の欲求を満たし、会社への積極的な貢献を強く動機づけるわけですから、正しい進め方を理解していなければうまく行くはずがないのです。これら小集団活動はZD運動やQCサークルなどに代表されるように日本的経営の特色なっていますが、タイの日系企業でこれらが現場の従業員レベルまで完全に浸透して日常的に行われているところは大変少ないと思います。QCサークルにしても最初は意気込んで日本に研修に行かせたり、ホテルなどで発表会などを行いますが、それから1、2年もすれば惰性で進んで行き、いつのまにか消えてしまったり、内容よりも発表会で賞品を貰うためのQC活動になったり、提案が一件も入っていない提案箱がキャンティーンの隅に寂しく置かれていたりすることが多いようです。
今回ご説明した経費節減のコストダウンは対象が家庭でも行われている節電や節水などが中心ですから従業員にとっても比較的、入りやすいし、対象がハッキリするため管理も行いやすいと思います。また逆に言えばこの程度の経費節減の活動が全社的にうまく行かなければ、その会社ではQC活動や改善提案などもとても定着しないと思います。
もし今後、小集団活動などの導入をお考えの企業がありましたら、最初にこの経費節減のコストダウンを導入してみることをお勧めします。アイディアも出しやすいし、実行すれば翌月にでも結果が数字で表れてきますから管理者が「小集団活動」の進め方をどの程度理解して実行できるかを知る目安となりますし、日本人駐在員がタイ人管理者に「正しい進め方」を指導する際も比較的、やさしく進められると思います。日本的経営の特色として世界的に賞賛されている小集団活動が、ここタイの日系企業でも広く取り入られ、深く定着するように願っております。